コロナ無料検査、6府県で不正疑い…診療所の名義無断使用・補助金の二重取り画策も

10/7(金) 5:02配信
読売新聞オンライン

 都道府県が行う新型コロナウイルスの無料検査事業で、6府県が不正行為の疑いで検査事業者の登録を取り消したり、行政指導したりしていたことが、読売新聞の調査でわかった。多額の国費が投じられている事業の一部がずさんに行われている実態が浮かんだ。

 感染に不安を持つ住民が無料でコロナ検査を受けられる事業で、昨年12月に開始。実施主体は都道府県で、全国に約1万3000か所の検査場がある。事業者には国から1件あたりPCR検査9500円、抗原検査4000円を上限に補助金が支払われる。

 読売新聞は9月、47都道府県に検査事業者の処分や行政指導の件数などを尋ねた。その結果、福島、埼玉、神奈川の3県が登録を取り消したと回答(宮城県はこの設問に回答せず)。3県は3〜4月、東京都内の診療所を検査事業者に登録したが、この診療所は昨年7月に廃止されており、元院長からの指摘で業者が名義を無断使用していたことが判明。4〜7月に登録を取り消した。

 事業者の資格要件は、医療機関や薬局、衛生検査所などに限られているが、3県は登録時の審査で、開設届など公的な証明書類の提出などを求めず、不正を見逃していた。

 本紙調査では、すべての事業者について公的資料などで資格を確認していたのは26都道府県にとどまった。残りは、証明書類の提出対象を一部の事業者に限ったり、一切の確認作業をしていなかったりした。

 一方、不正行為の疑いがあるとして、大阪、兵庫、沖縄の3府県が延べ17事業者に行政指導を行っていたことも判明。大阪府では、受検者にPCR検査と抗原検査を同時に受けるように促し、補助金を二重に受け取ろうとした不正行為が確認された。

 国は無料検査事業費として約3200億円を確保している。