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“箱入り娘あらため、箱入り息子”
僕はそんな環境で育った。
だからなのか、周りの人は僕を無知だという。
学年1位のこの僕を。
−−−―−
僕の親は過保護だ。
18にもなるのに学校に行く時や友達と遊びに行く時にだってボディーガードをつける。
だから好きに出かけられない。そのせいなのか最初は皆家に遊びに来てくれるが、家だとボディーガードとかも居るわけで、居づらくなって誰も遊びに来なくなった。
まぁ過保護になったのも理由はあるんだけど。
確かに知らない人について行って監禁されたこともあったけど、小学校の頃であってもう18だし、やり過ぎだと思う。今なら自分の身は自分で守れるし。
「…………き」
でもなんであの時着いていってしまったんだっけか
「あき!!」
「わぁっ!」
突然,名前を呼ばれ驚いてしまった。
「何度も呼んだぞ。もう学校に着く」
「そっか。ごめん。なんかぼーとしてた」
いつのまにか自分の世界に入っていたようだ。
監禁されたときのことはよく覚えていない。
親も周りもその話を僕の前ですることはタブーとされ、誰も話さない。
僕を見てくれた医者も後遺症だろうと。
忘れて自分を守ろうとしているから、無理に思い出すべきじゃないと。
「何か考えごとか?」
バクミラー越しに視線が合い、見透かされているようで視線を外してしまった。
「違うよ。ほんとちょっとぼーとしてただけ」
ヤバイと思って視線を合わせてにこりと笑ったが『悩み事ならなんでもきくからな』と心配されてしまった。
「うん。ありがとう」
夏樹はいつも心配してくれる。まぁボディーガードで仕事だからかもしれないけど。
夏樹は僕が高校に入った時に替わったボディーガード。
若いほうが一緒にいて目立たないだろうと気を遣ってくれたらしい。
だったらボディーガード自体なくしてくれればいいのに。
ちなみに、前任者のボディーガードの名前智春さん。そして今が夏樹。僕が秋だからか季節の名前が入った人をえらんでるとかないとか…。
「着いたぞ」
「うん。終わったら連絡する」
隣に置いてあった鞄を手に持ち、車を降りる。と『秋!』と名前を呼ばれた。
振り返れば、『お前は大丈夫だ。自信もって行って来い』と励まされてしまった。
「え、あ、うん。行ってきます」
夏樹に手を振って、学校へ足を進めた。
突然の言葉に少し戸惑ったけど、なんだかすこし元気がでた。
夏樹はいつも察しているのか、無理に訊くわけでもなく、ただ元気付けてくれる。
自信もてか…そういえば中学で挫折して自信なくして諦めて頑張ってこなかったな…
よし!ちょっと頑張ってみよう。