優しくてほろ苦い世界のはなし
あなたの思いつくままにことばを紡いでくださいな
お話を書くも詩を紡ぐも、すべてあなた次第
どんな言葉を紡ぎますか?
《優しくてほろ苦い世界のはなし》
優しいだけのお伽噺
それを語ってなにになるというのかしらと少女は笑う。
知らない君のために教えてあげる。その優しさはね、
誰かを支える光になって、誰かを守る繭になるんだ。
ハロー、ワールド
はろー、わたし。
生まれ落ちたこの世界がどんなものなのかなんて、わたしは知らないの。
それでもこの体を受け止めるあたたかい腕だけは、幸いだと思えるのだけれど。
さよならのあとで
キスを落とされた。
さよならと言ったのに、それじゃ後ろ髪引かれてしまう。
あなたの思い通りの別れになんてさせてあげない、そんなのつまらないじゃない?
そう胸の中で呟いて、泣き出しそうなあなたの腕を引いた。
誰かの夢のなかの夢
まるでマトリョシカだね、と夢の主は頬杖をつく。この夢を見ているのはぼくだというのにその夢の中心で踏ん反り返るなんて偉そうだな、と文句を言うと、なにをいう見ているのは君かもしれないがこの夢を司るのは僕だと、夢の主がにやりと笑った。何がなんだかまるでわからないがこいつがムカつくヤツだということだけはぼくにもわかって、無理矢理目を覚まそうと目を閉じてみたけれど、もう一度目をあけた時にも目の前にいるのはムカつく彼だった。
寂しいのはだあれ?
寂しがっているだれかさんの元へ行くからさ。
だから寂しいって声を上げてみせてよ、そうじゃないと。ぼくが会いに行けないじゃないか。それは寂しいよ。ねえ
寂しがりと寂しがりが一緒にいれば、少しは寂しくなくなるだろう?
嘘つきの寂しがりや
寂しくないよと嘘をつく、そんな君の隣に腰を下ろした。
嘘をついた罰だよ、とするり忍び込んだ先は君の手の平。びくりと警戒が走る腕には知らん顔で、そのまま指をゆるく握りこんだ。
ねえ、これは罰だよ。だからぼくは、君がゆるく手を握り返してきたことなんて知らないんだ。
少年少女の箱庭世界
規則正しく整列された机と椅子に、定められた位置に座る生徒たち。
決められた通りにことは進んでいく日常。ねえ箱庭の主さん、これで満足かい?
こんなめんどくさく閉ざされた世界じゃあ、息苦しくてたまったものじゃないよ。
閉ざされた空
ここは狭い箱庭ね。青い空も見えないんだもの。
ねえ、ここから連れ出してくれる?
ただ、傍に居て
君に触れられなくてもよくて、抱きしめようなんて思わない。
例えば君がその手を僕に伸ばしてきても、僕はきっとその手から逃れる。だって君が僕に触れるなんて、そんなことあってはいけない。君の世界を鎖すだけの僕なんて、君の世界を侵すだけの僕なんて、君に触れてもらうだけの価値もない。
ただ、僕の視界の届く範囲にいてくれるだけでいい。それだけで、僕は。
最後の願いごと
あなたに触れたい、なんて。わがままかしら。
あなたはいつだって私の傍らにいるだけで、触れようとすると淡く笑って私の手から逃れるの。
そんなあなたに消えられてしまうのが怖くて、いつでも傍らから離れぬように、その視野から外れてしまわぬようにしていたこと、気づいていたかしら。
なぜかは知らないけれど、あなたは私に触れられるのを嫌がるようだから。ずっと触れずに過ごしてきたの。それでも、最後くらい。
星のきらめきを辿る
星と星同士を繋いで絵を作る。
君の口からこぼれる物語はまるでお伽話。それでもあの星のきらめきに魅せられて、その話が本当であるかのように錯覚してしまうの。
優しくてほろ苦いお伽噺
それは僕と君だけで完結するかのように思えた今までの世界。
優しいだけの、それでいて逃げ場のない、すこし苦い世界。
ねえ、その扉を開けさせておくれ?
このお伽話を、終わらせよう。
あなたの紡いだお話やことばが、どうかきらきらかがやいていますように
ありがとうございました!
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リッハビーリ/(^o^)\
三人称書きたい三人称。