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主にサイトのお知らせや日常、乙女ゲーを語ったりしてます(^^)v
その時───…
俺は胸が高鳴った。
「君は…誰だい?」
その姿を見て、不思議になって…つい漏れた言葉。彼女は、その声を聞くと、慌てて海へと飛び込んだ。
それを追って、自分も海へと飛び込む。
自分が探していた宝は…これだったのでは…そう想わずには居られない程、波間に美しくなびく髪。
涙は、流れる度に真珠に変わる
そう。居るはずもない人魚。
俺は出逢ってしまったのだ…
そして、すぐさま心奪われた。
彼女は、俺の顔を見ると、少し儚げな顔を浮かべて、その後、ふるふる、と横に首を振り、みるみるうちに身体が波間に溶けてゆく───……
俺は慌てて、その泡をかき集めようとした、けれど間に合うはずもない。俺が悔しそうな顔をしたあと、ふいに消えゆく彼女と目があった。声などとうに出ないであろう、その口を動かし…
"ありがとう"
そう言った気がした…
ああ、そうか
彼女は消えゆく事を決して後悔などしていなかった。
彼女は彼女なりの、人を愛した証を残したのだ。
そんな美しく、儚い彼女を…俺は一生忘れない。
人魚姫に恋をした人間が此処に独り。