おはよう、いばら姫/森野萌
○第1話 あなたが好きです
○第2話 おばけ屋敷には誰がいる
○第3話 プレリュード
○第4話 天秤
預金通帳を日々愛しげに眺める勤労青年・三郷哲(怖がり)は、昔から幽霊がいると噂される丘の上の大豪邸で家政夫としてバイト中。
お金欲しさに就職希望で進学を勧める父親と大喧嘩したり、同級生相手にも商売じみた事をやってみたり、単なるお金好きなのかと思いきや入院中のお母さんが関係している様子。
一方丘の上の「幽霊屋敷」空澤邸には本邸とは別に離れが建てられている。
噂の元はこの離れで、病気がちの娘が住んでいるらしく誰も近付く事を許されておらず、長年働く家政婦でさえ誰一人としてその娘の姿を見た者はいない。
そんな謎に包まれた離れの主・空澤志津と偶然遭遇した哲。病気と聞いていたのに、そんな風には見えない明るく元気な志津に、哲はどんどん惹かれていく。
だけど志津には、誰にも言えない、誰も信じない様な秘密があった…。
会う度に別人の様に印象が変わる。
沢山あるのに着ていない洋服。
体は健康そうなのに隔離されている理由。
私も最初多重人格?と思ってたから
プールの霊に憑依された時は本当に怖かった。
だけど自分が誰なのかさえも「よく分からない」と言い、好き嫌いという概念についても考えた事がないと言ってしまえる
一見投げやりで無感動な志津さんが、強い気持ちで哲を守ろうとした事が、とても重大な事に感じた。
怖がりでオカルト苦手な哲にとってはものすごくショックだっただろうけど…
それでも志津さんのお母さんが持ちかけた「取引」に応じるのは、哲にも胸に秘めた事情があるから。
だけど切ないなぁ…
志津さんはなにも悪くないし、それなのに怖がらせたり泣かせたりする事を気に病む様な優しい人。
哲だって面倒見が良くて責任感も強くて、余計な事まで一人で背負い込んでしまいそうな性格。
このまま裏でお金の力が働いてる関係が続くのなら、あまりにも悲しい…
怒涛のシリアス展開の中、巻末のおまけ4コマはほのぼのしてて少し和んだ(笑)