「んぅ…ぁあ…っんあぁ…」
「いい声で鳴くようになったな…。締まりもいいし…お前、やれば出来るじゃねーか」
知らない男にお尻を突かれて甘い声を上げる。
人生が何があるか分からない、その言葉を今一番実感しているのは俺だろうな。
俺のバイトはバーテンだ。
昼間は大学に通い夜はバーテンとして働いている。
別にお金に困ってるとかじゃない。
暇してるなら働けば?って親友に言われ今の仕事を紹介して貰った。
有り難い事に俺がカウンターに入ると女性客が増えるとオーナーにも褒められ、俺はやる気で満ち溢れていた。
女の子が大好きな俺には打って付けの仕事で親友には感謝している。
女の子から誘われたりもして、可愛いタイプの子だと一晩相手をして貰う。
お陰で最近は快適な生活を送れている。
「お前か?新しいバーテンで、女を食いまくってるって言うのは」
その日、突然現れた男性。
赤いシャツを着ていてボタンを3つ外している。
そこから覗く首元にはキラキラと輝く金色のネックレス。
下はジーンズでスニーカーを履いている。
「あんた、誰?」
「何だ?客にそんな口の利き方いいのか?」
「客なのか?」
「一応客だ」
アハハッと豪快に笑うも何も頼む気配がしない。
人の顔をジロジロと見てはニヤニヤと笑ってやがる。
「客なら何か頼めよ」
「…本当に新入りなんだな。おい、誰か居ないか!」
深く溜め息を吐いたと思ったら俺の顔からようやく目線を外し店の奥目掛けて叫び出した。
「はい。どうしました…って、ユノかよ」
「そう嫌な顔するな、シウォン」
「…オーナーの知り合いですか?」
「幼馴染なんだ。ユノ。こいつには関わるな」
「はい!」
「シウォンにはいい返事するんだな、お前」
「お前じゃないから」
「名前知らねーから」
「待った!ユノに名前教えるな!」
「シウォン、なら俺はこいつをなんて呼べばいい?」
「…バンビちゃん」
「……名前の方が良いです。オーナー」
「どんなネーミングセンスだよ、シウォン。…でも確かに目がデカくて鹿みたいだな、バンビちゃん」
カウンターのテーブルに手をつき身を乗り出し俺の顔を再び見てくる。
…顔の距離が近いのは気のせいと言う事にしときます。
「…気に入った。バンビちゃん、今夜俺に付き合え」
「嫌です!」
「いいじゃねーかよ。あ、女なら紹介出来るぞ?」
「…おっぱい、大きいですか?」
「何だ?巨乳好きか?まぁ、そうゆう女も居るぞ?」
「…………おっぱいに免じて付き合ってあげます」
「何だ、そりゃ」
豪快に笑うと大きな手で頭をガシガシと撫でられた。
頭撫でられるなんていつぶりだろう。
なんか、少し気持ち良くて心の中がほっこりと暖かくなった。
「そうと決まればシウォン、バンビちゃんのバイト代は俺が出すから借りるぞ?」
「…頼むから壊すなよ?」
「保証はしねー。よし、バンビちゃん。今すぐ着替えて来い。店の前で待ってるから」
「…はい」
「じゃ、下でな」
立ち上がると俺の頬を手の平でペチペチと叩き上機嫌で店を出て行った。
「すまない、チャンミン。つい酔ってお前の事をあいつに自慢しちまった…。頼むから店辞めるとか言わないでくれ」
「…オーナー?」
「……あいつを怒らせると厄介だから早く支度して来なさい」
「…失礼します」
オーナーに頭を下げてからバックヤードに戻り素早く着替えてから急いで店の外に出た。
店の前にあの人の姿はなくて辺りをキョロキョロしていたら一台のベンツが俺の前で停まった。
「おい!バンビ!遅いぞ!」
窓がウゥーンと開くとさっきの人が不機嫌そうに顔を歪ませ話しかけて来た。
「悪かったな」
「良いから乗れよ。いい所に案内してやるから」
「…あぁ」
俺の頭の中はおっぱいで一杯でこの男の妖しい笑みなんて気にはならなかった。
暫く走ると車は高級マンションの地下駐車場に入って行った。
「ここは?」
「俺の自宅」
「女の子、居るのか?それとも呼ぶのか?」
「…まぁ、後からだな」
答えを濁された感はあるが、おっぱいにあり付けるなら何でもいいかと、男の後ろ姿に着いて行く。
そう言えばさっき、顔を見られた時。
俺もこの人の顔を見ていたけど目は綺麗なアーモンド型で睫毛と眉毛が整っていて、唇の上にある黒子がせくしーだったし、何より顔が小さくて驚いたな。
エレベーターに乗り込み扉が閉じると男は俺の手首を掴み壁に俺を押し付けた。
「痛いっ!…何?」
「…そんな可愛い顔で女抱けるのか?」
「馬鹿にするな!」
「…してない。…可愛いから可愛いって言ってるんだ」
「嬉しくない!」
「…可愛いのに…バンビちゃん」
暴れれば暴れる程男の力は強くなり身動きが取れなくなる。
頭の先から爪先まで全身を見つめれば顔を近付けてくる男。
「バンビちゃん…お前、俺のイロになれ」
「イロ?…んんっ…んぅ…」
言ってる意味が分からず首を傾げると男の唇に唇を奪われた。
しかも、乱暴に強引に妖艶に。
男の舌が咥内で自由に動き回り簡単に舌を捉えられるとねっとりと絡ませてきた。
俺は何も出来ず男の激しいキスに身を委ねるしかない。
「はぁ、…バンビちゃん、イケるね…」
「はぅ…んぅ…」
「おい、キスだけで腰抜けか?」
唇が解放されると足が震え出し壁を背にスルスルと座ろうとすると腰に腕を回され抱き寄せられた。
「楽しみはこれからだぞ」
そのまま所謂お姫様抱っこされてそのまま部屋へと連れて行かれた。
部屋を進むと男は俺をベッドに放り投げ覆い被されば服を脱がせてきた。
「ちょ、何してるんだ!辞めろ!」
「煩い。キスで腰抜けた癖に」
「あ、あれは違う!」
「違う?…ちんこ、勃ってるぞ?」
「………っ、………」
男に言われて下半身を見ると、確かに俺の俺が元気よく下着を押し上げていた。