とあるヤドカリの恋愛事情
※シーコンズ夢主の過去話
※暗い
※そして長い
あっしは昔、盗賊団にいた。
仲間と盗みを働いて過ごしていた。
あっしには、好きな人がいた。
意を決して告白してみた。
付き合うことが出来た。
嬉しかった。
なのに、
あんなことになるなんて思いもしなかった。
仲間の一人に嫉妬された。
アイツの取り巻きに捕まって酷い事をされた。
暴行された、屈辱的なことまでされた。
背中に大きなバッテン傷まで残された。
そして、嫉妬した仲間にこう言われた。
「勘違いするな」と
説明された。
意味がわからなかった。
あっしが好きだった奴はその知ってる奴と付き合っていて、
あっしは、
ただ、
「遊び」としてつき合わされていた事を知った。
好きだった奴からもそう言われた。
そして、笑われて馬鹿にされた。
あっしは周りをちゃんと「仲間」だと思っていた。
なのに、
周りは全然そうだとは思っていなかったことも知った。
周りがあっしに飽きると、奴らはあっしを捨てた。
とてつもなく拾い宇宙空間に。
あっしは、
あっしのことなんて大切に思ってくれる奴なんていないことを再確認した。
宇宙空間で泣き叫んだ。
心が痛くて
辛くて
寂しかったから。
あっしは、生まれた頃から一人ぼっちだ。
だから、盗賊団に入ったときは嬉しかった。
一人ぼっちじゃなくなったと思っていたから。
恋ができたと思っていたから。
なのに、
捨てられた。
ボロボロの体じゃ、動きもしない。
そもそも、もう動く気力なんて無かった。
だから、
このまま死んでしまおうかと思った。
一人ぼっちの人生なんてもううんざりだったから。
何も考えないように目を瞑った。
死ぬために、
何も考えないように。
でも、気が付けばあっしは拾われていた。
宇宙海賊「シーコンズ」に
そこであっしは、親分たちに出会った。
最初は拾ってくれた恩を返すためにシーコンズに入った。
恩を返すためなら、どんな事をされても構わないと思った。
あっしは、必要とされないと思っていたからこそそう思った。
でも、親分達は優しかった。
その優しさのおかげでまた「仲間」と思うようになった。
泣いて
笑って
怒られて
暖かくてとても居心地がよかった。
それでも、あっしは記憶の片隅に置いておいた。
「心の底から「仲間」だと思ってはいけない」ということを。
あっしは、怖かった。
また捨てられる事を
一人ぼっちになる事を。
盗賊団にいた頃の事をあっしは嫌でも忘れられない。
だから怖い
「恋」なんで、絶対に二度としないと決めた。
決めたのに
なのに・・・
ーーー・・・
あっしは、船の上から海を見ていた。
惑星ガイアの海を。
海を見ていても昔のことを思い出す。
あっしは嫌なことは水に流すタイプだ。
なのに、あの事だけはどうしても水に流せない・・・。
「どうしたんだ、シェルランサ。海なんて眺めて」
『んだよ、テラマンダーか・・・』
あっしに話しかけ来たのはテラマンダー。
シーコンズの仲間だ。
・・・仲間、と考えていいのかはわからないが
『別に・・・なんでもねぇよ』
「・・・珍しいな、お前が辛そうな顔を見せるなんて」
『辛そうな顔なんてしてねぇよ』
本当はどうなのかは知らない。
本当に辛い顔をしていたのかもしれない。
例えそうだとしても、周りに何も悟られてほしくない。
「まぁいい、親分がお呼びだぜ」
『・・・わかった、すぐに行く』
あっしの返事を聞くと「わかった」と言ってテラマンダーは先に親分のところへと向かう。
あっしはそんな後ろ姿をずっと見る。
なんでか知らないけど、あっしはテラマンダーに・・・
恋をしちまったらしい・・・。
もう、恋なんて絶対にしないと決めていたのに・・・。
なんで、恋をしちまうんだ・・・。
あっしは、怖くて辛くてたまらない・・・。
終わり
2014-4-27 10:28