魔法少年パロ。
魔法魔法というけれど、どうみても美少/女戦/士パロだよね。
プリ/キュ/アだよね…。
今回のピンポイント目標。
ミハベで甘甘を頑張ろう。
三橋君が優位にたつように頑張ろう。
阿部なんて、阿部なんて、三橋に迫られてどうにかなっちゃえばいいんだぁぁ。
逝ってみます。
*********
世界を救ってくれ。そういって突然現れた妖精 阿部君はいじめられっこで卑屈なオレに魔法の力を与えた。
少しずついろんな人の悩みを解決して、笑顔のキラメキを手に入れるなかでオレはちょっと自分に自信がついたし、自分が好きになってきた。
それもこれも、全部、阿部君のおかげ。
そして、愛してる。君のこと。
だから…。
オレは今日もやっかいで愛しい阿部君と、数限りない戦いを繰り返している。
「なあ、今日のこれ、どおう? ミニスカピンクナースコスに白ストッキング、ガーターベルトつき! これでお前の頑固なハートも一撃粉砕だぜ!」
背後から明るい声が聞こえてくる。
無視だ。
とりあえず、無視だ。
無視というより無心だ。
無心になれ、オレ。
パラパラパラ…とオレは教科書をめくる。
さあて、今日の宿題をかたしちゃおう。
肩肘をついて、いかにも集中してますって顔でオレはやみくもにページをめくる。
背後に温かい熱が近づいてきた。
「はーい、お熱、計りましょうね」
くんっと両目が後ろからふさがれる。
「あのっ…」
「検温は、口でな」
抵抗する間もなく、舌にヌルリと温かいものがふれてくる。
「むうっ…!!!」
ぐぎぎぎ…とオレは阿部君の肩を押し返した。
すると向こうもムキなってオレを抱きしめようとする。
(だーーーーーーめーーーーーーーー!!)
オレは理性を失う前にと必死に阿部君を押す。
あまりにしつこい抵抗に、とうとう阿部君がオレを放した。
「おい、テメ、いい加減に…!!」
「遊びでは 付き合わないって いった!!!」
「だから、なにが本気でなにが遊びなんだよっ!??」
お互い、肩で息をしながら相手をみつめる。
ふたりとも顔は真っ赤だし、唇はぬぐわなくちゃいけないくらい濡れているし、オレのシャツは軽く乱れているし、阿部君なんかビンクナースのガーターつきだ。
「本気 まで ふれない」
「オレは本気でサービスしてやるっつてんだろ。こんなに尽くそうとしてるのに」
「もっと自分、大切に…」
「してるよ。オレは有能な妖精だから、スカウトした戦士にはいつでも気持ちよく…」
ハア…と、オレはため息をつく。
「オレは、さ。阿部君が きた世界を救ってから …付き合いたい」
「そしたらお別れじゃん」
ほら、またそんなことをいう。
オレがそういわれるたびに泣きたくなるのが、本当にわからないの?
「こっちの世界に残るってこと…」
「無理、じゃね? 前例がないもん…」
「だったら…」
そこまでいってオレは口を閉ざす。
(だったら、オレが、それ、作る…)
今度また、阿部君たちの妖精の国、ドリームエンジェリックワールド2012にいったら、そこで王宮の奥にいる女王様に聞いてみよう。
それとも、最近知り合いになった阿部君のお兄さんの榛名さんに聞いてみようかな。
オレと阿部君がいつものように暴れだした人々の負の感情から生まれた化け物、カナシンミーと戦って、かなり危なくなったときに、助けにきてくれたもうひとりの妖精、榛名さん。
阿部君の実のお兄さんらしくて、言動が阿部君並みにいろいろおかしかったけど。
しかも阿部君のことからかって、半泣きにさせては楽しそうに笑っていたけど。
でも、まあ、相談事には熱心にのってくれそうな人だった。
「おい、三橋」
そんなこと考えていたら、急に強い口調で名前を呼ばれた。
「なに?」
「舐めろ」
振り返ると、いつのまにかSM女王様風の姿になって、金の椅子に腰掛けて足を組んでいる阿部君。
真っ黒なブーツがピカピカと光っている。
「だから、なんでいつもそうなの!!?」
「…お前、アレだろ。本当はこういうほうがいいんだろ?」
ああ、頭が痛い。
それから、いま、思い直したんだけど、阿部君をこんな価値観にしたのは、あのお兄さんかもしれない。
そういうところ、いろいろユルそうな人だったから。
…相談するのも、よくよく考えてからにしよう。
オレは阿部君とのやりとりのせいで、なんとなくもやもやした気持ちになってきて、立ち上がる。
「どこいくの?」
「別に…」
「逃げんのかよ?」
「ちがっ…」
「じゃあ、ためずに…」
「トイレ!!」
スッと阿部君を押しのけて部屋のドアノブに手をかける。
ちょっとその、まずいことになってきたから。
「待て! そんなところでひとりでするんなら…」
「なにがっ?」
オレはバッ、と阿部君をみかえす。
「どうしてオレでしないんだよ?」
「だから…」
「ホントは知ってんだ。お前、ホントはオレのこと嫌いなんだろ?」
「ふえ?」
「興味なんかねーんだろ。ハンッ、気がつかないとでも思ってんのかよ。あーあ、オレもこんなに一生懸命になってパートナーに尽くそうなんてするんじゃなかった。叶とか織田とかに相手にしてもらおっかな〜。織田なんてオトすのカンタンそう…」
頭にきた。
なんだそれ。
オレたち中学2年生なんだぞ。
オレがこんなに君のことを大切に思って、将来のことまで考えて、君がオレと変な契約関係じゃなくなってから晴れてプロポーズしようなんて毎日、毎晩、自分の欲望と戦って、清く正しく愛そうと頑張ってるのに…。
ドサリ。
鈍い音をさせてオレは阿部君を床に押し倒す。
真剣な目で彼の瞳をみつめた。
ビクリ、と阿部君が息をのむ。
ほら、急に君は驚いてこんなに胸を速く打たせだすじゃないか。
ゆっくりと、ゆっくりと女王様の首もとから頬にかけて、手のひらでなであげる。
阿部君の頬が一気に朱に染まった。
オレに絡みつく視線が、一時休止を訴えている。
それに構わず、首筋に口づけた。
「うっ…あ…」
いっそう君の胸が速く打つ。
こういうことでしょ?
君がしようしようといってたのは。
「みはっしっ…」
ビクンと彼の身体が反った。
嫌がってるのか、喜んでるのかわからないけど、おそろしく可愛いと思った。
でも、オレの気持ちも限界だ。
これ以上のことをするのは怖い。
君の声が、聞いたことのないような、高くてせつない声でオレの名前を呼んだ瞬間、心臓は空気銃で撃たれたようになってしまった。
「…はっ…」
オレは甘さと痛さに貫かれたような感覚を全身に感じる。
グッと腕に力をいれて阿部君のうえから起き上がった。
「おしまい です」
惚けたようにオレをみつめる阿部君に、ベッドの上からつかみとった薄がけをパサリとかけて、自分は枕を顔にかぶせてうつぶせになった。
恥ずかしくて恥ずかしくて恥ずかしくて。
どうしようもなく跳ね回る鼓動を抱えながら。
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ピュアベが書けない。