5/17 に拍手くださった方、ありがとうございました…!! こんなところでの返信にしてしまいましたが、更新する勇気が持てました。ろまんちっく、皇子パロ…書いてみたいと思います。
(><)
ととと、とりあえず勢いで更新です。
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さっそく、城を抜け出す気になったハルナはタカヤと殺風景な石作の廊下をたどり、階段があるとこでは下に降り、どちらかというと細い裏道といった道を通じて、調理場のようなところに着いた。
調理場の中を覗くと、ついこの間、タカヤを取り囲み女装させた女官達がテキパキと働いている。
タカヤは思わず一歩下がった。だが、ハルナはかまわず中に入ると、トトをみつけて、またも手の平や腕を使ってサインのようなものを素早く送る。
ハルナの動きが終わると、トトがキョトンとした表情でタカヤの方を見てきた。
つややかな黒髪美女に見つめられたら、普通は嬉しいものだが、今のタカヤは不安しか感じない。
(なに!? また、なんかされんの…?)
クシュッとタカヤの眉がさがる。
すると、トトがクスリと笑った。
(え?)
トトはハルナに視線を戻し、今度はニッコリと笑顔をつくり。
「じゃ、よろしくな!」
ハルナは明るい顔でトトに手を振ると、タカヤのところに戻ってくる。
「よし。馬のところに行こうぜ」
「う、うん…」
タカヤは調理場からこちらを見送るようにしているトトと、女官達をチラと眺めながらハルナに手を引かれるようにして建物の外へと出た。
午後の日差しがまだまぶしい。
しばらく進むと、城の裏手とでも言おうか。
城壁の下に茂みが生い茂ったあたりに来た。
「ねえ、モトキさん。さっき、トトになんていったの?」
「ん? ああ。ただ、『これから馬に乗って町に出るから、アキマルがなんか言ってきたら、適当にごまかしておいて』って」
「え!?」
「だってあいつ、うるさそーじゃん。タカヤのこと勝手に城の外に出したりしたら」
「ああ…いや…まあ」
「アイツってホントもう、心配性だからさ。タカヤが逃げ出すとか、タカヤがオレをだまし討ちにするとか、タカヤが外部と通じてなんかやばいことをしでかすとか、そんなことばっか考えてんだよ」
「…そりゃ、まあ…そう考えるのは普通っていうか…。一応、オレ、アンタを恨む理由は充分持ってるからなあ」
ピタリ、とハルナの足がとまった。
クルリ…と静かに大柄な男が振り返って見下ろしてくる。
「……逃げるの?」
「はい?」
「逃げるの? オレから。それとも、だまし討ちすんの?」
「え、あの…」
無表情で威圧感だけだされるのが、非常に怖い。
無駄に綺麗な顔立ちなだけに、ますます怖い。
「ここまでの流れ…お前が仕組んだの?」
「バカいえ!! アンタが勝手に決めて動いてたんだろう!! なんだよ突然!!」
「本当に?」
「アホか…その怖い顔、やめてくださいよ。隙を見て逃げようなんて考えてませんでしたよ。今日はずっとアンタと一緒に動こうと思ってました」
「…本当?」
「いや、だから、なんでそんなに情緒不安定なんですか? 本当ですって。卑怯な方法で逃げたりはしません」
(今日のところは)
タカヤは心の中で付け加えた。
やっぱりこの人物は、安心してつきあえない。
ハルナの方は軽くため息をつくと、つとタカヤの顔に自分の顔を近づけて、唇に触れるだけの優しいキスをした。
「……信じるからな……」
「うん……」
タカヤは応えるように穏やかに微笑んだ。
体中に鳥肌がたったのが、わかられませんようにと祈りながら。
いまの瞬間、ゾワリとした感覚が、いったいなにからきたのか、タカヤにはわからなかった。
とりあえず…ハルナは微笑み返している。
よし。
「タカヤ…」
「はい…」
「もし、万が一、決してないとは思うが、お前が変な動きをみせたら……」
「う、うん…」
「泣いて可愛く懺悔するまでスッゲーことしてやるからな!」
「イイ笑顔でなに抜かしやがるんだ、この変質者! 祖国の敵ー!!!」
二人が城の外に出るまで、もう少し。
この騒ぎでアキマルに気づかれなかったのは、非常に運の良いことであった。
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つづく