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season3 第12話(1)

「ここからは選手交代だ、和希達は一旦休んでな。お前達ヘトヘトだろ」

御堂達の元に来た援軍が、まさかの支部隊員精鋭5人という展開。
その中には御堂の同期の囃(はやし)もいたわけだが、彼は知らないうちに隊長になっていたわけで…。


「囃…いつの間に隊長になっていたんだよ…」
御堂はゼイゼイ言いながら囃に聞く。

「話は戦闘後だ。こんだけ怪人がうじゃうじゃいたらキリないでしょうが。
っつーわけで月島・鶴屋、音撃と護符で一気にやっちゃって。ババーッとな。
久留米と高羽は好きなように暴れていいぞ。シールドシステムのおかげで爆破させても建物被害は最小限で済むからな〜」


囃の指示、ざっくりしてる。雑というか、元々こんな感じだったっけ?

いちかと梓も御堂同様、一旦休むことに。近くにはシェルターがある。



そのシェルターでは彩音が怪我人の手当てをしている。
組織の救護隊はフル稼働なため、救護には民間組織も応援に来ているようなてんてこ舞いな状態。

「大丈夫ですか!?今止血しますからね!」


彩音は今の状況を重く見ていた。民間組織まで駆り出される状況って…相当ヤバいよ…。
救護が追いついてないんだ…!


「あやねえ!」
「いちか…どうしたの?」
彩音はシェルターに現れたいちかを見る。

「支部の人達が来てくれたの。囃たいちょーに一旦休めって言われたけど、何か出来ることない?
指をくわえて黙って見ていろなんて無理だよ!」


いちかは必死だった。あやねえの足手まといかもしれないけど、何かしたいんだ。


彩音は冷静だった。

「簡単なことなら出来るよね?新人研修で習った救護、あれならいちかでも出来るから。
負傷者…市民はほとんど出てないのが幸いしてる。鼎のおかげだよ。シールドシステムのおかげで被害が少ない。でも死傷者は出てるから…。隊員に犠牲者が出てる」
「死傷者出てるって…嘘!?」


この同時多発的な怪人出現、人知れず犠牲になっている隊員もいるのも事実。
今回は敵の数が異常に多いため、数の暴力に負けてしまう隊員も少なからずいる。

救護に当たる彩音は救護隊と連携しているため、情報が続々と入ってくるらしい。



囃を始めとする支部隊員達は鮮やかに殲滅していたのだが。


「囃さん、これ絶対おかしいです!音撃で一掃しても数がなかなか減りません!」
そう叫んだのは月島。鶴屋も前代未聞な状況に困惑している。

広範囲で一掃してもなんでこの怪人は次々湧いてくるんだ…?
一定数を保っているのが気になる。だから御堂さん達は疲弊してたのか。



本部司令室。鼎はあることに気づく。

「和希達がいる場所だけなぜ怪人が減らない?カラクリでもあるのか?
他の場所は綺麗に殲滅されているのに…」


鼎は解析班チーフの朝倉へ通信した。

「朝倉取れるか?」
「補佐、なんでしょう」
「御堂達が交戦している場所について調べて欲しい。ここだけ怪人を倒しても倒しても次々湧いてくる。
カラクリがあるはずだ」


少し間があり返事が来た。

「了解しました。
……補佐、無理してませんか?気持ちはわかりますが…少し休んだ方がいいですよ。
……紀柳院司令補佐!?」


鼎は慣れない状況とプレッシャーに押し潰されそうになっていた。
宇崎は鼎の様子がおかしいと気づく。


「鼎!おいっ!しっかりしろ!頼むからぶっ倒れるな…!」

このバタバタした状況に気づいた朝倉は宇崎に聞く。


「何かあったんですか!?」

「朝倉…鼎のやつ、慣れない状況とプレッシャーでかなりの負荷がかかっているみたいだ。少しは自分の心配しろよ…。
お前の言う通り、少し休ませるから。倒れたら本末転倒だろ」

鼎は息を切らしている。仮面で顔は見えないが、明らかに辛そうだ。


「室長…すいません。少し休みます」
鼎の声に力がない。

「悪い。お前にプレッシャーをかけてしまったかもしれない…。
身体の調子、あまり良くなさそうだな…。鼎はあのダメージで健康体ってわけじゃないんだから、休み休みやればいい。独りで抱え込むなよ」
「すいません…」

「謝らなくてもいいよ。今は俺が指揮するから、ちょっとだけ寝てきなさい。
じゃないと体、持たないでしょ」


鼎は無言で司令室を出た。
少しふらついてる。ずっと立ちっぱなしだったのもあるのかもしれない。

彼女に長丁場は過酷だろうに…。



本部救護所。鼎はベッドの上に座っていた。
まだ動悸がする。プレッシャーのせいなのか、まだ少し気持ち悪い…。


突如、鼎のスマホに着信が入った。晴斗からだった。


「鼎さん?俺だよ晴斗だよ」
「…晴斗か?」

「俺、桐谷さん達と一緒に戦ってるよ。今は移動中なんだけどね。
鼎さん…無理してない?なんとなく気になってたから…」


鼎は沈黙する。…というか、なんて言ったらいいのかわからなかった。


「…あ、ごめん。気…悪くしたかな…」
「そんなことないよ。少しだけ元気出たよ」

「そう…良かった……」
晴斗の安堵の声。


晴斗との通話で少しだけ元気が出たらしい鼎だが、まだ司令室に戻れるような気力が戻っていない。
思っていたよりも消耗しているな…。確かに倒れたら本末転倒。



朝倉は鼎のことが気になっていた。分析を急ピッチで終えた後、バタバタと救護所へと向かう。

本当に大丈夫なんだろうか…。補佐は顔が見えないぶん、異変に気づきにくい。


「補佐、入ります」
「どうぞ」

鼎は朝倉の姿を見た。なんで朝倉がここに…?


「司令補佐…休んでいたんですね。良かった…」
「なんでわざわざここに来た?」

「そりゃあ心配しているからですよ…。うまく言えませんが…」
「分析は終わったのか?」

「終わりました。それの報告も兼ねまして。
御堂達がいる場所は特異点だと判明しました」


特異点!?


「さらに分析したところ、この場所は畝黒(うねぐろ)本人とリンクしています」

「つまり…」
「畝黒當麻を撃破しなければ、永遠にあの場所は怪人が湧いてくるんです」



朝倉のこの報告は宇崎にも知らされた。


「畝黒とあの場所がリンクしてる!?畝黒本人を撃破しないとあのままなのか!?」
「だからそうなんですってば」

「畝黒はゼノク研究施設にいると西澤から報告が上がっている。長官と畝黒が交戦中だとも聞いてるんだよ…」
「ゼノク隊員も駆り出されてるわよね!?」


「既に出撃済み。指揮は憐鶴(れんかく)がしてるというが…彼女なら戦うだろうな」



そのゼノク研究施設周辺では。憐鶴と二階堂が連携し、研究施設へ突入を試みていた。

「二階堂さん、義手の出力上げれますか」
「やったことはないですが…試してみます」


二階堂は右腕の戦闘兼用義手の出力をじわじわと上げる。二階堂の義手も雷撃が放てるようにアップデートされていた。

憐鶴はというと、対怪人用鉈・九十九(つくも)を発動させていく。
九十九は帯電し始める。


この様子を粂(くめ)達は見守るしかなかった。今現在、ゼノク隊員で攻撃力が高いのはこの2人だけ。
2人の強力な雷撃で研究施設に突破口を作ろうとする作戦。



研究施設内部。蔦沼は2発目の雷撃を放とうとしていた。
南は制止しようとする。

「出力上がっていませんか!?マズイですよ!!」


畝黒はニヤリと笑った。爆破する気だ!
彼は手のひらを翳し、派手に爆破させた。爆破の規模は大きい。爆風に煽られる蔦沼と南。かろうじて2人は致命傷を免れたが負傷してしまう。

それでも立ち上がる蔦沼。
再び雷撃するべくエネルギーを左腕に溜め始める。


憐鶴と二階堂は同時に雷撃を放った。届いて!!
2人の合体雷撃は研究施設へ突破口を作った。隊員達は研究施設へなだれ込むように突入。


研究施設内部は一部、瓦礫の山と化していた。堅牢な研究施設が破壊されている!?
あの爆破の後だ。長官は!?


長官はなんとか立っていた。両腕の義手もダメージを受けている。
秘書の南も負傷していた。


「…君たち、来たんだね」
そっけない反応。どう見ても負傷してるのに…。

蔦沼の左腕は既に帯電していた。二階堂は察した。
長官は最大出力を使うつもりなんだと。見た感じ、雷撃は既に1発使っている…。

雷撃は消耗が激しい。長官はこの雷撃に全てを込めるつもりなんだ。


「…君たち下がってて。これは僕と畝黒の戦いだから…」
「そんなこと言われても…」

戸惑いを見せる二階堂。憐鶴はさりげなく二階堂を長官の側から離した。


「これは長官にとって、最後の戦いになるかもしれないんです」
憐鶴は小声で隊員達に言った。



憐鶴は事前にある事を西澤から聞いていた。
それは蔦沼が長官を引退するかもしれないということ。それがいつになるかはわからないが、彼は区切りをつけようとしている。

西澤が憐鶴に一時的に指揮権を移行したのは憐鶴の能力を見るため。
予想外なのは二階堂である。いつの間にか現場を指示する隊長的なポジションへとなっていたからで。
それも自然となっていたから気づかなかった。


「長官に見せ場を作ってあげて下さい。お願いします」
憐鶴が隊員を制止したのはそういう理由だったのか。


畝黒の容赦ない攻撃はゼノク隊員をも巻き込む。だが、あくまでも蔦沼に花を持たせたくて。
この間にも蔦沼はエネルギーを溜めている。

最大出力、それもチャージ時間が長いとなると長官の身体の負荷は半端ない。
捨て身の攻撃になるのは誰が見ても明白だった。



その頃、本部では――


「室長、ありがとうございました。あれから調子は幾分戻っています」


鼎は司令室へと戻っていた。

「鼎、朝倉と連絡していたんだな。お前が休んでいる間に和希達に伝えたよ。
特異点のこと。畝黒とリンクしてる事実を告げたら全員驚いてたよ」
「……誰も予想つかないだろう。ラスボス本人と場所が繋がっているなんて――。
……ところで、和希達の状況は?」


「支部の囃達が援軍に来たから戦力倍増。休憩していた和希達も改めて交戦中。
新人隊員達は2つに分かれていたが、今は合流して別な場所で交戦中。
晴斗達は別なところで交戦中。つまり今現在は3ヶ所で交戦しているわけ。霧人のバイク隊も合流するでしょうな」


3ヶ所にまで絞られたか――

一時期、10ヶ所以上あった怪人出現エリアが今や3ヶ所となった。
隊員の死傷者は出ているが、建物被害は少ないと報告が上がっている。市民の負傷者も少ないらしい。


シールドシステムをあの段階で起動させて正解だったんだ。


「いよいよ正念場だな。鼎、西澤と通信しておけよ。
ゼノクとの連携で戦局は大きく変わるかもしれない。希望を持て」
「諦めたら終わりということか」

「今こそ士気を上げるべきじゃあないかい。
指揮権はお前に戻すよ」
「支部も加勢している時点で、この戦いは総力戦だと思いますが」


「そうだったな」


season3 第11話(4)

同時多発的に複数出現した怪人相手の隊員達の戦闘は続く。
刻々と変わる戦況と、持久戦の様相を呈していることでゼルフェノア本部はギリギリな状態――



本部司令室。鼎はこの厳しい状況にもかかわらず、冷静さを失わなかった。

「埼玉と神奈川の出現エリアは撃破したのか。新人隊員達も東京へ合流か…。厄介なのは東京だけ、異様に怪人が集中しすぎている。
1ヶ所につき5体〜10体と報告も上がっている。
…室長、他に戦える戦力はないのですか」


「…桐谷を今、待機させてるだろ。彼を出撃させないとキツいな。
本部で広範囲攻撃を得意とする隊員はかなり少ないからね」
鼎は桐谷の他にもうひとり、戦力になる隊員がいることを思い出した。

「解析班の神(じん)がいる…!彼に急遽、出撃をお願いしたい。神は手練れだと聞いた」


解析班から神を出撃させるだと!?
確かに神は戦闘経験者だし、手練れてはいるが。貴重な解析班のバリバリ戦える隊員だ。

宇崎は鼎の突拍子のない考えに一瞬、動揺する。


「桐谷と神か…わかった。神に要請するよ」



解析班。チーフの朝倉は宇崎の連絡を受け、ついにこの時が来てしまったと悟った。


「司令、神さんを出撃させるんですか!?」
「鼎からのお願いなんだ。今の状況…わかっているだろ。解析班でバリバリ戦える隊員は神しかいない」

「でも…!」
朝倉は戸惑いを見せた。神は朝倉から受話器をふんだくり、返事をした。
「俺も行けばいいんですね。出撃します」


朝倉は神を見た。

「神さん…今の状況…かなり不利だよ。待機していた桐谷さんも出撃するって…。
必ず帰ってきてよね!神さんのいない解析班は解析班じゃないから…」
「朝倉、俺は大丈夫。気をしっかり持てって」


そう言うと神は自分の装備を手にし、解析班の持ち場の部屋を出た。

待機していた桐谷も銃火器を車に積み込んでいる。
今回は敵が1ヶ所につき複数であることから、彼の装備はロケット砲や対怪人用マシンガン・対怪人用ライフルがメイン。



神は桐谷が待っている組織車両へと合流。


「桐谷さん、行きましょう」

「まずは晴斗くんを助けなくてはね。鼎さんが先にここへ行ってくれと。この高校です。彼は孤軍奮闘しているとのこと。明らかにマズイですね。
『晴斗は今ひとりで戦ってるから増援して欲しい』と言われたら…断れないでしょう?」
「そりゃあ断れないな」


桐谷と神は晴斗の高校へと向かう。



霧人達バイク隊は千葉某所で戦闘中。


「渋谷隊長!ここ、数多くないですか!?」
霧人は無言でアクセルを吹かしている。隊員のひとりは思った。まさか…あの荒業をやる気なのか!?


「お前達は離れてろ」

霧人は複数の怪人相手に轢き逃げアタックという、禁じ手を使用。それくらい、霧人は地味に追いつめられていた。


渋谷隊長、轢き逃げアタックしちゃってるよ!?それいくらなんでもそれはダメだろ!!
……いいのか?相手人間じゃないし、どうなんだ…。

緊急事態だから許されるんだろうか…。


「早く東京へ戻るぞ。東京が1番ヤバいんだからな。怪人の巣窟と化してやがる…!増援しないと持たない」

バイク隊は東京へ向かう。



都内某所D。新人隊員2班はここで苦戦を強いられることに。

「氷見…この状況どう思うよ」
吾妻が呟いた。
「圧倒的に不利ですよね。東京はヤバいと聞いてますが…ゆうに10体はいますよ…」



本部司令室のモニターでは、地図に表示される怪人出現エリアが東京にだんだん絞られていく。
隊員達の通信音声からするに、都内の怪人出現エリアは1ヶ所の怪人の数が増えている模様。


「室長…持久戦となってますが…この戦いに勝ち目はあるのか…?
私の判断はこれで良かったのか?」
「何迷っているんだよ。お前のおかげで士気は上がっている。だんだんエリアが狭まっているってことはそういうことだよ。自分を責めるな」


鼎の手が震えていた。


「お前も十分戦っているじゃないか」
「……私は、出来ることをしているだけです…」

鼎の声が震えていた。今までにない状況なのもあるのだろう。
内心、不安なのかもしれない。



都内某所C。晴斗の高校に援軍到着。晴斗は疲弊していた。


「晴斗くんっ!助けに来ましたよ」
「き…桐谷さん!?…とその人誰?」

晴斗は戦いながら器用に話してる。体力オバケな晴斗も孤軍奮闘で疲弊しているのが見てわかった。


神は銃を怪人に向けた。
「暁、その説明は後だ。ここの怪人どもを殲滅してから俺が誰かは教えるから」


なんなんだこの人…手練れている。めちゃくちゃ戦闘慣れしてない?

桐谷もマシンガンで一掃。
この2人…頼もしすぎる。


晴斗の高校に出現した怪人の残りは桐谷と神によって殲滅された。

高校は避難解除される。
晴斗は桐谷に聞いた。
「桐谷さん、この人一体誰なんですか?」
「解析班の神さんですよ。彼は解析班では貴重なバリバリ戦える隊員なんですよ」


解析班!?そういえばなんか聞いたことがあった。
戦闘慣れしてない隊員ばかりの解析班で唯一、手練れがいるって…この人だったの!?


「桐谷さん、次の場所へ行かないとマズイですよ。御堂隊長達が心配だ」
「桐谷さん、俺も行くよっ!!」

「そう来なくてはね」



都内某所Aは激戦地となっていた。倒しても倒しても新たに怪人が湧いてくる。

御堂達がいる場所はかなり厄介な場所だったわけで。


「なんだよこれっ!倒しても倒しても湧いてくるっ!なんで数が増えてんだよっ!!」


御堂は泥臭い肉弾戦で応戦中。いちかと梓にも疲労の色が見えている。
最初の余裕はもう、全員なくなっていた。この場所だけ特異なのだろうか、他の場所では次々隊員達が殲滅しているというのに…!



ゼノク・研究施設では蔦沼と畝黒(うねぐろ)が熾烈な戦いを極めている。
畝黒はゼノク隊員を研究施設に近づけないように仕向けていた。研究施設周辺に怪人を複数出現させる。


これにいち早く気づいたのは二階堂だった。

「いつの間に怪人が!?」
「研究施設に行くにはこいつらを倒さないとならんのか…めんどいな」

そうボヤいたのは上総(かずさ)。
「イチ、殲滅しましょう。粂(くめ)さんと三ノ宮もお願いしますね」

粂は弓を矢を3本同時につがえた。
「長官がピンチなんだ。殲滅してやんよ!」
二階堂も右腕の戦闘兼用義手を展開させる。左脚の義足に仕込んだ仕込み刃も展開。

二階堂は本気モードとなる。
「行きますよっ!!」



研究施設内部。


「畝黒、一体何をした?外が騒がしいが」
「怪人を出現させたのさ。隊員を足止めさせるためにね。悪いがここには入れさせないよ」


畝黒は蔦沼の両腕の戦闘兼用義手を執拗に狙っている。さっきから攻撃が彼の腕を狙っているように見えるのだ。

「蔦沼、気づいているか?お前のその腕…義手なんだな。それも戦闘兼用とはね。壊したら面白そうだ…。めちゃくちゃにしてやろう」


畝黒の攻撃力が上がった。火力が強くて避けきれないっ!!

そんな追いつめられた蔦沼をとっさに庇った人がいた。蔦沼はダメージを受けてないと気づく。
目の前に見慣れた人影があった。


「助けに来ましたよ、長官」
にっこりと笑う南の姿があった。

「…南か」


蔦沼を庇った人物とは秘書兼世話役の南だった。彼は鞄を広げ、盾にして蔦沼を守ったのである。
南は専属エージェントでもあるため、普段持ち歩いている鞄も防弾・防火仕様のものだ。広げれば盾になる。


彼はこの隙に銃を用意していた。

「長官のためなら私も戦いますよ」
「南は出張らなくてもいいだろうに…」


畝黒は南がどこから侵入したのか理解出来なかった。

研究施設には一部の人間しか使わないもう1つの出入口がある。南はそこから内部へと突入したわけで。
蔦沼と南は一緒に行動することが多いため、このような隠された場所をいくつか把握している。


南は淡々と畝黒に銃撃するも、簡単にあしらわれてしまう。
蔦沼は雷撃を使うことにした。雷撃なら攻撃力を高めることが可能だが、最大出力にすると危険が及ぶ。


「長官、雷撃を使う気ですか!?最大出力はやめてくださいよ!!」
「南…背後に移動してくれないか。感電するよ」


ダメだ…聞こえてない!
長官は左腕にエネルギーを溜め始めている。最大出力でやるつもりなのか!?

以前、彼は雷撃最大出力を使い義手を使い物にしなくしたことがあった。


だんだん左腕に可視化されていく雷。溜まってきているエネルギー。
蔦沼は手を組み、力を分散させた。そして一気に畝黒に向かい、雷撃を放出するっ!!

畝黒は予想外の攻撃にダメージを受けた。蔦沼は両腕にエネルギーを分散させたことで義手の破壊は免れたが、かなり消耗している。



研究施設周辺でも激戦が。


「どりゃあああああ!!」

上総は忍者刀型ブレードを発動、二階堂と連携し怪人を一掃する。
上総の対怪人用ブレードも発動することは出来たが、今まで使わなかった。


二階堂は戦闘兼用義手の特性を活かし、ガンガン攻めている。実質、二階堂と上総だけで怪人を一掃してしまう。

「上総、まだ終わっていませんよ」
「わかってんよ」


そこに援軍として苗代と赤羽・憐鶴(れんかく)も合流。特殊請負人・もとい執行人も来るということは相当危ない状況。
憐鶴は戦闘時なため、黒いフードを被り黒いベネチアンマスク姿。手には対怪人用鉈・九十九(つくも)を携えている。


執行人のお出ましだーっ!

上総は内心テンション上がっている。


「憐鶴さん、あなたが出てきたということはつまり…」
二階堂は少し戸惑いながらも、彼女に聞いた。

「研究施設内部はここよりも激戦地となってますからね。私の九十九の出番ですよ」
「指揮権あるあんたが自ら出てきてもいいのか?」

ボヤく上総。


「今は一時的に移行しているだけです。状況次第では出るのも構わないですよ。
西澤室長はモニターで見ているはずですからね」



本部司令室。鼎は珍しく慌てた反応を示した。

「何!?ゼノク研究施設に畝黒が襲撃だと!?…じゃあ首都圏に出現した怪人は…!」
鼎は西澤と連絡中。

「紀柳院、畝黒は本部を混乱させるために首都圏に同時多発的に出現させたんだ。本部は大丈夫か?」


鼎は沈黙する。西澤は悟った。大丈夫じゃなさそうだ…。紀柳院も疲弊している。
よくこの状況で頑張ってるよ。

「強力な増援をそっちに送っておいたよ。君たちの助けになればいいと思ってね」
この西澤の意図はすぐに判明する。



都内某所Aでは全員が限界近くなっていた。御堂もふらふらだ。

何か打破する方法ないのかよ…!


そんな中、思いもよらぬ人達がいきなり怪人達を一掃。だが怪人は湧いてくる。

そして聞き慣れた声。


「和希、助けにきてやったぜい」
御堂は声の方向を見た。そこには支部隊員の姿があった。御堂に声をかけたのは同期の囃(はやし)。彼はいつの間にか隊長に昇格していた。
御堂と囃、2人の隊長が揃う。


囃は野太刀型ブレードを担ぎながら御堂にどや顔を見せた。

「囃…!?」
「支部を忘れてもらったら困るよな」





第12話へ。


雨だし眠いし


話題:おはようございます。
昨日の拍手12個ありがとうございます。今日は肌寒いです。雨のせいもあってか、めちゃくちゃ眠い…。



自己満小説season3・11話(3)、微修正しました。昨日どんだけ書くの捗ったんだよ。

11話・12話はほぼ戦闘パートなうえに総力戦になるから見せ場出まくりになるつもりだが、場面がコロコロ変わるのはしゃーないかなぁ。
同時多発的に戦闘が起きちゃってるんで、一部をピックアップして書いてますが…実際はもっとハードです。特撮の戦闘パートを想像したらわかりやすいかもしれないとです。

モブ隊員も人知れず戦っておりますよ。戦闘パートでピックアップしてるのは主要人物なんですが。


文章力がイメージについてけないのもある…。

携帯止まる前にseason3完結が目標なんだよ。じゃないと不完全燃焼で終わってまう。それは嫌だ。


ゼノク研究施設地下にある例の部屋、本編でなんとか補足出来て良かった。
説明不足だったんで今更ながらに補完しました。なんで敵が地下にある「Z-b2」という部屋を狙うのか。実は人類の存亡に関わるヤバい理由が隠されていたっていうね。

だから長官は最高機密としていたのだ。
怪人や異形にアクセスさせないために。


畝黒は人間態でもかなり強い設定なんで、蔦沼vs畝黒は長官が不利な状況。秘書の南の行動で変わるかどうか…。まさかの長官vsラスボスとのバトルという、異例の展開。そこは主人公じゃないんかい。

season3で空気だった晴斗は学校を守るべく孤軍奮闘してるわで、かなり隊員達はキツキツな状態。


そんな中、鼎はどうするのか!?…的な?
ゼルフェノア本部がめちゃくちゃピンチなんで鼎の指示で意外な人が駆り出されます。11話(4)で出撃するよ。お前戦えるの!?って部署からなんで。



なんかこれからの予告みたいになってしまった…。

戦闘パートが絡むと、1話あたりが長くなりがちだと今更ながらに気づいた。
戦闘パート、実際はもっとカッコいい演出なんだが、文章力がなさすぎて…。


稚拙な文章なのはわかってる。


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