2014-8-23 16:12
最近サイトにはあまり顔をお出しできていませんが、文は書いています。二次も楽しいけど創作も楽しいですね!すっかりはまりました。
で、どんな文書いてるかと言いますと非常にゲスいという大変な褒め言葉をいただきました。ありがてえありがてえ……自分でも結構気に入ってるのでゲスと言っていただけるととても嬉しいです(ゲス顔)
追記でそのゲス文載せておきます。興味がある方のみどうぞ
「ァアアアアアアアアアア!!!!!!」
「……どうした、大口を叩いていたわりにはもうお終いか?」
ざわつく樹海の音を切り裂くように新たな風の哭く音が響く。それが自然に生じた風の音ではない事は言うまでもない。音の発信源は俺の目の前にいる細い少女。
自分で折った腕をわざと持ち上げて宙吊りにし、腕に自重が全部かかる様にしているのだからこの反応は当然だ。おそらく尋常ではない痛みと熱が少女の体を駆け巡っているのだろう。
「気を失ったら簡単に楽になれるぞ?」
「……誰がアンタの言う事をー……ぁ……ァアアアアアア!!!」
少女の折れた腕を掴む手に力を込めて捻り上げれば、少女の口から痛みの捌け口を求める声が漏れ、大気を悲痛に震わせる。
黒く汚れた泥と水をたっぷり吸った少女の髪が風に踊る。叫びが途切れ少女の黒く染まった口元から溢れ出た鮮やかな緋色が俺の服にまた新しい染みを作っていった。
……常人なら落ちていてもおかしくないはずの痛みに蝕まれながらそれでも少女は最後の一線で落ちない。
感覚なんてもう痛みしか残っていないだろうに、それでも少女は双眸に強い光を宿し続けていた。
その光に自分の中でより一層殺意と憎悪が膨らんでいく。
俺は、俺はこの女が憎くて憎くてたまらない。
(本当かー……?)
この女は罪人だ。
(この子も被害者だろう?)
この女の一族のせいであの人は!!
(ただ、生まれただけのこの子に何の罪があるという?)
ー……知ってるだろう?この子の生い立ちを。この子を取り巻いている残酷な現実を。知っていてなお、自分は、俺は目を閉じ耳を塞ぎ知らないふりをして偽り続けるのか?自分が楽だからという理由で?
「ー……っう!!」
相反する矛盾した思いが泡のように浮かんでは消えていく。最後の言葉が弾け飛んで消えた時、ガラガラと音を立てて自分の中で何かが崩れ落ちていった。
苦悶の表情を浮かべる少女にあの人の顔がリンクする。どこまでもあの人に生き写しのー……忘れ形見である少女に。
なあ、なんでお前はそんなにあの人の生き写しなんだ?どうしてお前の瞳は緑ではなくそんな汚らしい色なんだ?
「ー……なっ……!!」
喉の上を冷たい氷が走ったような感覚がした。
反射的に掴んでいた少女の手を放し撥ね退ければ、血の付いた短刀を色の変わっていない方の手で握りしめる少女がいてー……あの色の瞳と虚空で視線が絡み合った。
「……はっ……やって……くれる……」
ヒューヒューと言葉になり損ねた乾いた空気の流れが喉を焼く。
まさか、あの痛みの中で戦意を失わないどころか確実に急所を狙ってくるとは……
あと少し反応が遅れていたらまずかった。それこそ致命傷になり兼ねない裂傷を喉に刻まれていただろう。それでも、この傷も十分深いがー……
グラリと少女の体が傾き、鈍重な速さで泥の中に沈んでいく。今の一撃は文字通り最後の力を使ったー……
「……ッ!!!」
正気と狂気と境目で見ていた世界が滲んで壊れていく。……まずい。この傷は予想以上にー……
『クルースニク、お願いね。私の大切な娘を』
むせ返るような百合の香りの向こうからあの人の声が聞こえたような気がした。