“let fly”
「飛ばす, 言いたいことを言う」
今なら怖くてできないよ。
大人になったのね。
いや、ただの意気地なしになっただけね。

4年前に超しを痛めてから、冷えにも弱くなった。
元々冷房は好きじゃなかった。
と言うより、団扇で涼を取るのが当然の時代に育った。
夜は網戸越しの微風と蚊の大群の餌食になって。
それでも知らない間に眠って、朝を迎えた。
今またその暮らしを強いられるのは困るけど、懐かしくもある。

戦後のベビーブーム(こんな言葉を知らない人が多いだろうが)に生まれ育ったので、
盲学校の寄宿舎では、10畳の部屋に6・7人暮らしていたね。
当然、扇風機なんてないよ。
22時にはベランダの掃き出し窓も規則で閉めなければならなかった。
規則だから、改善を求めて舎管と交渉することもなかったね。

だから、自分に心地よいことを求めて、ラジオに投稿したり電話したり。
学校の外にそうやって健常の友達を見つけた。
今想えば、彼らは目の見えないマギーに遠慮していたのかもしれないけれど、
そして彼らに陰で母がマギーのことを頼んでいたのかも知れないけれど、
社会を知る良い場を回りに与えて貰えたと感謝している。
言いたいことを言っても皆え笑い飛ばしてくれた。
障害者の権利だとかバリアフリーを求めるとかじゃなく、
周りに溶け込む智慧を母は教えてくれた。

16歳も若い檜に言いたいことは色々あるけれど、
育って来た時代が違うから許せる。
第一、パソコンの設定やiPHONEの世話もしてくれるしね。
おいおい、そっちかえ!